予防歯科について
予防歯科とは、むし歯や歯周病にかかってから治療を行うのではなく「痛くなる前・むし歯が悪くなる前に予防をする」という考え方の治療です。
そのためには、自宅で行うセルフケアと、歯科医院で行うプロによるケアの両方が重要です。 セルフケアだけでは歯に付着した歯垢や歯石を完全に除去することはできません。どんなに丁寧に歯磨きをしていても、10~20%程度の磨き残しがあると言われています。
歯科医院にて、定期的予防処置を受け、むし歯や歯周病にならない為の健康なお口をキープしていきましょう。
未病の状態でいかに医学的管理を行うか
プラークとは口腔内細菌の塊でバイオフィルムの一種です。
バイオフィルムとは、細菌が自身の周囲に合成した特殊なバリアのようなもので、薬剤や自身の免疫系が作用しにくく、こびりついていて除去が困難です。
また病原因子や毒素がバイオフィルム内に滞留することで、歯周病やむし歯が発症・進行します。プラークには毎日ブラッシングしてもとり切れずに残ってしまい、時間が経過することで毒性が強くなった「古いプラーク」と付着して時間があまり経過していない「新しいプラーク」があります。
当院では、定期的予防処置を行うことにより、「古いプラーク」を除去し良い常在菌を保ち続けることにより、むし歯や歯周病が発症する前の未病の段階で、口腔内管理を行っていきます。
精密検査でお口を知ることから始めましょう
当院では、まず初めに以下の項目の検査を行い、その結果からそれぞれの患者さまのお口の状態に合った予防プログラムを立案します。
細菌検査
位相差顕微鏡でお口に存在している細菌を観察し、その菌の種類や活動性などをチェックします。場合によっては、患者さまにもその動画をご覧いただき、治療前と治療後の変化を見ていただきます。
唾液検査 SillHa(シルハ)
お口の中のむし歯や歯周病のリスクを知るために、SillHa(シルハ)による唾液検査をしています。
この唾液検査は5分の測定時間でできる簡単な検査になりますので、患者様に手間や負担がかからず、むし歯菌・酸性度・緩衝能・白血球・タンパク質・アンモニアを測定できるため、むし歯や歯周病、口臭のリスクが分かります。
検査結果を視覚的に分かりやすい報告書にて結果をご説明のうえ、どんな治療をするべきか、治療の流れをご説明いたします。
※ご希望の方には保険外診療にて検査をしています。
唾液検査 SillHa(シルハ)で分かること
むし歯菌
むし歯がない方も数値が高い場合は要注意です。
むし歯菌があっても、菌が活発に活動していない場合は数値が小さくなります。
酸性度
口内環境が変わるたびに歯は溶けたり戻ったりしています。
酸性度が高いと溶けた状態が長くなり、十分に元に戻らなくなります。
緩衝能
酸性になった口内は、唾液の緩衝作用で中性に戻ります。
緩衝能が低いと中性に戻りにくく、歯が元に戻りづらくなります。
白血球
口内に炎症が起こると白血球の数値が高くなり、どこかで菌の繁殖によるダメージを受けている可能性があります。
タンパク質
繁殖した菌が多かったり、歯周病などで口の中が出血しやすいと、たんぱく質が多くなります。
アンモニア
アンモニアが口の中に多いと細菌数も多いため、口内の清潔度がわかります。
この数値が高いと口臭の可能性があります。
予防処置によるケアについて
「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」は異なるそれぞれの役割があります。
予防歯科には2つのケアがあり、歯科医院にて定期的に受ける「プロフェッショナルケア」と、ご自宅にて行う歯磨きなどによる「セルフケア」があります。
それぞれの役割はどちらも大切なため、片方だけでは十分な予防効果が発揮されません。 両方のケアをしっかりと行い、むし歯や歯周病をしっかりと予防していきましょう。
ご自宅で行うセルフケア
ブラッシング
毎日欠かさず歯磨きを行っていても、歯並びやお口の状態に磨き方が合っていなかったり、磨き癖があったり、使用する歯ブラシが適切でないなどの様々な理由により、どうしても磨き残しができてしまいます。
また、磨く力が強すぎることで歯や歯茎を傷つけてしまっている場合もあります。 歯磨きは最も身近な予防方法です。正しいブラッシングができるよう、当院では最適なブラッシング方法や、歯ブラシの選び方を患者さまにご案内しています。
ポイント
毛先が開いてしまった歯ブラシは、歯や歯と歯茎の隙間にしっかりと毛先が当たらないため汚れが落としにくくなります。一ヶ月に1本を目安に歯ブラシを交換し、しっかりと汚れを落とせる状態を保つようにしましょう。
フッ素配合の歯磨き剤の使用
フッ素は歯質を強化したり、むし歯の発生・進行を抑制する効果があるため、フッ素配合の歯磨き剤を使用することでより効果的にセルフケアによる予防を行えます。
歯間ブラシ・フロスの使用
歯ブラシだけでは落としにくい歯と歯の間、歯の根本、歯と歯茎との境目など、細かい部分も歯間ブラシやデンタルフロスを使用してしっかりと汚れを落としましょう。
マウスウォッシュ・デンタルリンスの使用
殺菌効果のあるマウスウォッシュやデンタルリンスはむし歯予防に非常に効果的です。就寝中は細菌の繁殖がしやすいため、就寝前の使用がおすすめです。
歯科医院で行うプロフェッショナルケア
口腔内検査
問診だけではお口の状態を全て把握することはできません。
より最適な予防方法をご提案するため、現在の歯や歯茎の状態、お口の中の環境をしっかりと把握するための検査を行います。
ハンドクリーニングおよびハンドスケーラーを用いた SRP
ハンドブラシ、フロス・歯間ブラシを用いて、徹底的にプラークの除去・洗浄を行います。
必要に応じて染め出し液を用い、プラークが残っている部位を患者さまと一緒に確認しながら処置を行っていきます。歯石や舌苔が付着している場合は、除去します。
PMTC
しっかりとセルフケアを行っていても、実際には思っている以上に磨き残しが残っていたり、歯ブラシだけでは落としきれない歯石や細菌もあります。
プロフェッショナルケアでは、歯科衛生士が専用の機器を使用して歯石や汚れ・細菌の除去を行うお口のクリーニング「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」をお受けいただけます。定期的にPMTCを受け、お口の中を隅々まできれいにしましょう。
※保険外診療となります。