むし歯治療

むし歯について

むし歯とは

むし歯とはむし歯は歯垢(プラーク)の中に存在する細菌の塊が糖分を栄養として「酸」をつくりだし、歯を溶かしていく病気です。歯の表面はエナメル質というとても硬い組織でコーティングされています。そのエナメル質を溶かし、細菌がエナメル質の内側にある象牙質にまで侵入した状態がむし歯です。

細菌の代表的なものに「ミュータンス連鎖球菌」があります。これは、歯に対して強力な付着能力を持ち、他の細菌をかき集めるように細菌の塊を増殖させていきます。

唾液検査 SillHa(シルハ)

唾液検査 SillHa(シルハ)お口の中のむし歯や歯周病のリスクを知るために、SillHa(シルハ)による唾液検査をしています。
この唾液検査は5分の測定時間でできる簡単な検査になりますので、患者様に手間や負担がかからず、むし歯菌・酸性度・緩衝能・白血球・タンパク質・アンモニアを測定できるため、むし歯や歯周病、口臭のリスクが分かります。
検査結果を視覚的に分かりやすい報告書にて結果をご説明のうえ、どんな治療をするべきか、治療の流れをご説明いたします。

※ご希望の方には保険外診療にて検査しています。

唾液検査 SillHa(シルハ)で分かること
むし歯菌

むし歯がない方も数値が高い場合は要注意です。
むし歯菌があっても、菌が活発に活動していない場合は数値が小さくなります。

酸性度

口内環境が変わるたびに歯は溶けたり戻ったりしています。
酸性度が高いと溶けた状態が長くなり、十分に元に戻らなくなります。

緩衝能

酸性になった口内は、唾液の緩衝作用で中性に戻ります。
緩衝能が低いと中性に戻りにくく、歯が元に戻りづらくなります。

白血球

口内に炎症が起こると白血球の数値が高くなり、どこかで菌の繁殖によるダメージを受けている可能性があります。

タンパク質

繁殖した菌が多かったり、歯周病などで口の中が出血しやすいと、たんぱく質が多くなります。

アンモニア

アンモニアが口の中に多いと細菌数も多いため、口内の清潔度がわかります。
この数値が高いと口臭の可能性があります。

むし歯になる原因

むし歯になる原因お口の中に糖分が入ると、数分後にはお口の中が酸性条件に傾き、歯の表面が溶け始めます(脱灰)。

これは、歯が溶けてしまう地点pH5.5(臨界pH)以下となるためです。この状態ではエナメル質の表面からリンやカルシウムなどのミネラルが溶け出してしまいます。

しかし、一定の時間が経過すると、唾液の作用によって歯垢が中性(pH6.8)に戻ると、唾液や歯垢の中のリンやカルシウムが過飽和し、溶け出したエナメル質が再び結晶化して硬化し、組織が修復していきます。これを再石灰化といいます。このお口の中のバランスが非常に重要です。食後の歯の脱灰は急速に進みますが、再石灰化にはとても時間がかかります。

つまり、歯が溶けるのは早いが、元に戻るのは時間がかかるということです。そのため、ダラダラ食いをしたり、間食が多かったりすると、歯の再石灰化が追いつかず、エナメル質が溶けた状態が長く続くことでむし歯のリスクが高まります。

むし歯の進行度合いと治療方法

歯科医院ではむし歯の進行度合いに応じて、カルテにC1〜C4といった記号で記載を行います。
C1〜C2はまだ浅く中等度のむし歯、C3〜C4が中等度以上のむし歯と捉えてください。

C1

C1

特徴

歯の表面が白濁や茶褐色に変化している状態です。
むし歯の進行はエナメル質までで、この時点では痛みなどの症状はありません。

治療方法
経過観察/フッ素塗布/コンポジットレジン

むし歯がこれ以上進行するのを防ぎ、歯の再石灰化を促す処置を行い、経過観察をします。定期的予防処置でむし歯の進行度合いを確認し、細菌のコントロールを行います。

また、フッ素配合の歯磨き剤やフッ素の塗布をし、再石灰化を促します。白濁が目立つなどの色味が気になる場合にはコンポジットレジンで修復を行いますが、一度歯を削ってしまうと元には戻せないため、医師とよくご相談ください。

C2

C2

特徴

歯のエナメル質の内側にある象牙質にまでむし歯が進行した状態です。穴があいてしまい見た目で分かる場合もあれば、そうでなく進行している場合もあります。むし歯も急性と慢性のものがあり、症状についてもむし歯が小さくても感じることもあれば、大きくても何も感じないこともあります。

治療方法
コンポジットレジン/インレー/クラウン

象牙質にまで到達したむし歯は、歯の内部にまで細菌が侵入していることから、むし歯を除去する治療が選択されます。

前歯の場合はコンポジットレジン、奥歯の場合は基本的にインレーやクラウンで修復しますが、むし歯が小さい場合はコンポジットレジンで修復することもあります。

歯の痛みについて

歯の痛みは、象牙質と歯髄(歯の神経)に分けられます。これは歯の表面から浅い部分と深い部分で、支配している神経の部分が違うためです。

冷たいものがしみたりする場合は一時的な痛みの場合が多く、象牙質の痛みと考えられます。この場合、痛みは落ち着いてくることが多いです(可逆性歯髄炎)。このような場合には、神経を取るような治療は行いません。

その一方で、ズキズキとした痛みが続き、温かいものでも痛みが生じるような場合には神経による痛みと考えられます。この場合は痛みが引きにくく、歯髄の処置が必要な場合もあります(不可逆性歯髄炎)。

むし歯が深い場合の対処

まず前提として歯髄(歯の神経)を残すことが最優先となります。歯髄は痛みを感じ取る組織で、外部からの刺激に対して免疫機能が働いたり、刺激を遮る組織の形成も行っています。
また歯根がまだ未完成の未熟な歯の場合、その後の歯の成長にも影響を与えることから、できるだけ歯髄を残すように努めています。

歯髄を温存する基準
  • 治療の当日に痛みの症状が出ていない場合
  • 過去に痛みがあっても、一時的で軽度な場合
  • 冷たいものには症状があるものの、温かいものへの反応がない場合

など

C3

C3

特徴

象牙質の更に奥まで細菌が侵入している状態です。歯冠が大きく崩壊し、見た目でも分かる大きな穴が開いている場合もあります。C2にもあるように、不可逆性歯髄炎のような痛みがひどい状態の場合は根管治療が必要となります。

治療方法
根管治療

歯の根っこや神経の治療である根管治療を行います。詳しくは”根管治療”の項目でご説明していますが、非常に複雑な治療であるため、治療回数や期間がかかる治療です。

根管治療が終了した後は、失った歯の機能を回復させるために被せ物の作製を行います。

C4

C4

特徴

歯冠が失われ、歯根のみが残っている状態です。
むし歯を治療せず放置したり、根管治療を終えた歯の被せ物が外れた状態のままでいたりすると、歯茎の上には根っこしか残っていない状態になります。

治療方法
再根管治療〜矯正・外科/抜歯

歯の内側にたくさんのむし歯があり、むし歯を取り除くことで歯に穴が開いて歯を残せないなどの状態の時は抜歯を行うことになります。残りの歯の状態がまだ良い場合は、再び根管治療を行って被せ物をするか、必要な場合は部分矯正や外科的処置を行います。

部分矯正または外科的処置の内容は以下のようになります。

  1. 矯正的挺出(歯を歯冠方向に引っ張り出す)
  2. 歯冠長延長術(歯茎の形を外科的に整えて露出させる)

などの方法で、歯を温存する選択ができる場合があります。

当院でのむし歯治療の取り組み

MI治療(できるだけ歯を削らない治療)

MI治療(できるだけ歯を削らない治療)MI治療(ミニマルインターベンション)と聞くと難しい治療に聞こえますが、これを分かりやすく言うと「なるべく歯を削らない治療」ということになります。歯を削ってしまうと、その歯の寿命を縮めてしまうことになりがちです。

歯を削らなければ完治が見込めない治療の場合は、従来と比較して歯を削る量を必要最低限に抑えます。

拡大鏡を使用した精密な治療

拡大鏡を使用した精密な治療健康な歯とむし歯を見分けるのは肉眼では難しく、これを確実に見分けるために拡大鏡を使用して精密な治療を行っています。
健康な歯を削りすぎることなく、むし歯だけを削ります。

むし歯治療をお考えの患者さまへ

むし歯治療をお考えの患者さまへ「むし歯は治療すれば治る」という考えは、半分は正解ですが半分は間違っています。この理由は明確で、むし歯は常に再発のリスクと隣合わせのためです。何度も再治療を繰り返すことで、どんどん歯の寿命は縮まっていき、最悪の場合は抜歯となってしまいます。

辻堂よしおか歯科クリニックでは、患者さまに少しでも長くご自身の歯で生活して欲しいと考えております。 そのために、「できるだけ削らない、再発させない」という言葉をモットーとしてむし歯治療に取り組みます。むし歯治療をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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