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2025.03.13

歯周病にご用心⑤歯周病の進行とその種類part1

歯周病は大きく分けて、歯肉炎歯周炎、さらにかみ合わせに関係する咬合性外傷に分けられます。

そもそも健康な歯肉とは

・歯肉の色がピンク色 ・歯と歯の間に入り込んでおり弾力がある

・引き締まった状態でブラッシングによる出血が見られない 

状態のことを指します。

 

 ただ磨き残しなどが原因で歯肉溝にプラークがたまると、歯肉が炎症を起こし腫れることにより歯肉溝が深くなり、歯肉ポケット(仮性ポケット)が形成されます。

この状態が歯肉炎で、炎症が歯と歯肉の境目に限局しており、歯を支えている歯槽骨の破壊は起きていません。

この段階ではブラッシングを一生懸命行い、プラークを除去することで、健康な状態に戻すことが可能です。いつも通りのブラッシングで歯肉から出血した場合や、少しチクチク痛みを感じた場合は、歯肉炎の可能性が高いです。少し時間をかけて丁寧に磨いてください。

 

少し専門的なお話になりますが、どうしてプラークが付着していると歯肉が炎症を起こし腫れてしまうのでしょうか?

<歯肉の赤み(発赤)はこうして起こる!>

歯と歯肉の境目あたりにプラークが残っていると、プラーク内の細菌がだす毒素によって組織内の炎症性物質が働いて、血管が広げられます(血管拡張)。炎症により血管が広がり、通常の10倍以上の血液が血管に流れ込みます(充血)。血管内が大量の赤血球に満たされるため歯肉が赤く見えるのです(発赤)

<歯肉の腫れ(浮腫)はこうして起こる!>

血管の拡張と充血が起こると同時に、血液成分が血管の外に漏れだしやすくなります(血管透過性の亢進)。これは細菌が出す毒素による炎症性物質の働きで、血管壁の細胞が縮んだり壊れたりすることにより細胞と細胞の隙間が広がっていきます。この隙間を通って血液成分が血管の外に漏れだし溜まることにより、組織の腫れが起こります(浮腫)

以上のことより、ブラッシングやスケーリングを行いプラークを除去してあげることによって、毒素による炎症性物質の働きが抑制され、血管の拡張と充血が改善し、腫れが治まってくるのです!

次回は、歯周病と咬合性外傷についてお話していきます。

 

2025.02.27

歯周病にご用心④歯周病になりやすい状態とは

歯周病は「細菌感染症」であり、日本人の40歳以上の8割が罹っていることにより「生活習慣病」として考えられています。

むし歯が発症する大きな4つの因子があったように、歯周病にも歯周病にかかりやすくなる4つの因子が知られています。

①宿主因子

宿主因子は各々が持っている性質のことで、年齢や性別、人種などです。また代謝遺伝子異常や炎症・免疫関連の遺伝子の異常が関連するとも考えられています。他にも糖尿病や肥満、Dawn症候群などは歯周病の重篤度が高くなることで知られています。

 

②微生物因子(細菌因子)

プラーク中には様々な細菌がいますが、歯周病の発症・進行にかかわってくるのが歯周病原菌で、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に生息しています。

歯周病原菌を病原性ごとにグループ分けした時に、一番病原性の高いレッドコンプレックス(Red Complex)の比率で病原性の高い歯周病かどうかの分かれ目となります。病原菌のバランスが崩れたり、病的な量まで増えると歯周病が発症するので、レッドコンプレックスが存在しているからと言って、必ず歯周病が発症するわけではありません。

また研究が進むと細菌種の位置づけも変わることがあります。

③環境因子 ④咬合因子

喫煙や口の中の清掃不良、ストレス、歯並びなどが含まれます。また汚れがたまりやすかったり、歯に合わなくなっている詰め物や被せものも歯周病になりやすい危険因子です。口呼吸の習慣がある人も粘膜や歯肉が乾燥しやすく炎症を起こしやすくなるので注意が必要です。

環境因子に含まれる場合もありますが、咬合因子として、悪いかみ合わせや食いしばりなど歯に強い負担がかかる状態では、歯周病が進行しやすいです。

 

 

特に環境因子に関しては、日常の生活習慣や歯科受診の有無と大きく関わっているので、生活習慣を見直し、歯科治療することで歯周病のリスクを改善しましょう!

 

 

 

 

 

2025.02.06

歯周病にご用心③歯周病の状態については診査から

当院では、初診時やリコール時にお口の中の状態について確認するために検査を行っています。

1、口腔内写真の撮影

口腔内写真を撮ることで、患者さん自身が自分の現状を客観的に確認することができます。むし歯や歯肉の状態、歯並びや噛み合わせの状態が分かるだけではなく、プラークや歯石の付着の状態も確認できます。

またリコール時に口腔内写真を撮影することで、前回と比較でき改善点や悪化点を共有できます。

2、レントゲン撮影

歯周組織の状態を把握するためには、口腔内写真による肉眼的な情報とは別にレントゲン写真も必要です。歯槽骨、歯根膜の状態はレントゲンでないと確認できません!経過を確認するために、リコール時や診療時にも撮影することがあります。

レントゲンは歯周組織の確認だけではなく、むし歯や根尖病変の確認にも有用です。

3、歯の揺れの確認

 歯は歯槽骨に支えられていますが、歯周病が進行し歯槽骨が溶かされることによって支えがなくなり、歯の揺れ(動揺)が増していきます。歯の動揺の程度は歯周病の進行度によって変わります。

ただし、歯が揺れる原因は歯周病だけではありません。根尖病変がある場合、歯が割れている場合、過度な力が加わった場合、歯をぶつけた場合なども歯の動揺が起こります。何が原因で動揺が起きているのかは、レントゲン等のほかの検査の結果も含め総合的な診断が必要です。

4、歯周ポケットの測定と歯周病の活動性の確認

歯と歯茎の境目からプローブという専用の道具を用いて、歯周ポケットの測定を行います。歯周病が進行していると、歯周ポケットの値が深くなっていきます。4ミリ以上から歯肉に炎症が起きている目安になります。

また歯周ポケット測定後の歯肉からの出血は、歯周病の活動性と密接に関係しています。歯肉からの出血は歯面にバイオフィルムが存在し、感染・炎症状態であることを示しています。

定期的にポケットの測定と出血の有無を確認することで、歯周病の進行状態を確認できます。

深いポケットがあっても出血がない場合は、病態が安定していると考えられます。反対に歯周ポケットがそこまで深くないのに全体的に出血が認められる場合は、免疫力が低下し歯周病が活動期であると考えられるので、ブラッシング状態の見直しや体調管理に気を付ける必要があります。 

5、プラーク付着率の検査

歯周病の原因は「プラーク」であり、プラークが多く付着していると歯周病が進行しやすくなりますし、歯周病の治療を進めていくうえでプラークの付かないお口の環境を整えることが重要です。全体の20%以下が目標値として定められています。

 

歯周病は痛みを伴うことなく進行することが多く、なかなか自覚症状に気づきにくい病気です。一度失われた歯周組織は感染を除去し、炎症をコントロールしても元に戻ることはありません。定期的な検査で進行を予防しましょう!

 

 

 

2025.01.30

歯周病にご用心①歯周組織とは

歯周病は「歯周組織が破壊される病気」ですが、そもそも歯周組織とは何でしょうか?

歯周組織は、①歯肉 ②歯槽骨 ③歯根膜 ④セメント質 により構成されています。

②歯槽骨③歯根膜④セメント質は歯を支持している組織で、①歯肉はこれらを保護する組織ととらえることができます。

歯周病の原因は「プラーク」です。

「プラーク」中に含まれる歯周病原菌が産生する毒素によって、歯肉が腫れたり出血しやすくなります。この状態のまま進行していくと、歯肉が炎症によってどんどん腫脹し「歯周ポケット」が深くなっていきます。また深くなった歯周ポケット内で細菌の繁殖がさらに進んでいき、歯槽骨が溶かされてしまうのです。

いつも通りの歯磨きをしていて、歯肉がチクチクする感じや歯肉からの出血がある場合は、歯肉が腫れている状態です。いつもよりも時間をかけて丁寧に磨いて、歯周病の進行を抑えましょう!

 

 

 

2025.01.16

歯周病にご用心

成人において歯を失う原因の多くが、むし歯と歯周病です。

むし歯は、歯そのものが壊される病気ですが、歯周病は歯肉や骨など歯を支えている組織(歯周組織)が破壊される全く別の病気です。

歯周病は「サイレント・ディジーズ(Silent desease)]」とも呼ばれ痛みなどの症状が出にくく、初期段階では、なかなか自覚できません。しかしながら歯周病は、糖尿病やメタボリックシンドローム、心臓病、早産など様々な全身疾患との関連が報告されています。

まずはセルフチェックをしてみてください!

<チェックがない場合>

これからもきちんと歯磨きを心がけ、最低でも1年に1回は歯医者さんでの定期検診とクリーニングを受けましょう!

<チェックが1~2個>

歯周病の可能性があります。歯医者さんで今の状態と歯ブラシがきちんとできているかの確認をしてもらいましょう!その後も3~6か月に1回の定期検診とクリーニングを受けましょう。

<チェックが3個以上>

歯周病が進行している可能性があります。歯医者さんに通院していない人は早めに受診しましょう!その後も2~3か月に1回の定期検診とクリーニングを受けましょう。

 

 

 

 

2024.12.26

むし歯は科学だ!⑨むし歯のリスクは異なる!唾液検査の勧め

同じ食事、同じ生活習慣を行っていても、むし歯になりやすい人となりにくい人がいます。

低リスク(むし歯の治療経験が少ないなど)の場合は、規則正しい食生活、フッ化物配合の歯磨き粉を使用した丁寧なブラッシングと、定期検診におけるチェックで十分にむし歯予防効果が期待できます。

高リスク(むし歯の治療経験が多い、定期検診のたびにむし歯が見つかるなど)の場合は、低リスクの場合のむし歯予防法に加えて、+αの予防法を取り入れることをお勧めします。

+αの予防法を取り入れるためにお勧めなのが、「唾液検査」です。他にも口臭が気になる人、何度も治療している人やもっと歯を大事にしたい人にもおすすめです!

当院では「SillHa(シルハ)」を導入しています。シルハは口内環境に対する6つの項目を測定します。

歯の健康に関する項目として

①むしば菌の活性度を測定します。現在、むし歯があるかどうかではなく、むし歯になりやすい状態かどうか評価します。

②口の中がどれくらい酸性に傾いているか測定します。数値が大きいと、むし歯になりやすい状態です。

③唾液が酸を中和する力である緩衝能を測定します。数値が小さいと酸を中和する力が弱く、むし歯のリスクが高まります。また緩衝能に関しては唾液の量が多いほど、働きがよくなることが分かっています。

歯ぐきの健康に関する項目として

④白血球の多さを測定します。菌の繁殖などによって生じた炎症の度合いが分かり、歯周病が進行すると数値が上がります。

⑤たんぱく質の量を測定します。血液中には多くのたんぱく質が含まれており、数値が高い場合は、歯肉からの出血や菌の繁殖が疑われます。

口腔清潔度に関する項目として

⑥アンモニアの測定を行います。アンモニアは口臭の原因の一つであり、また唾液中のアンモニアは細菌数と相関します。

測定方法は、洗口用水で口をゆすいでいただくだけでとても簡単!ただし、検査2時間前からのご飲食はお控えください。当院では1回¥1,100円で行っております(自由診療)。ブクブクうがいができるようでしたら、子供の検査も可能です!

むしば菌の活性度が高い場合はロイテリ菌も使ってみていただいたり、緩衝能が低い場合は洗口液やPOs-Ca Fを使ってみていただいたりとオーダーメイドのむし歯予防方法を歯医者さんと考えていきましょう!

 

 

 

 

 

2024.11.21

むし歯は科学だ!⑧「細菌」に対する、むし歯予防の方法

①ロイテリ菌タブレット

詳しくは、ブログの「ロイテリ菌タブレットの効果」シリーズをご覧ください!

悪玉菌を減らして善玉菌の増加と活性化を促進させ「菌質」改善していきましょう!継続することで、むし歯や歯周病になりにくいお口の中になっていきます。

むし歯になりやすい人(治療している歯がたくさんある人)には特におすすめです。

②歯磨き

磨き残しがあると、最近はそれをエサにして増殖し活動性もあがります。細菌が増殖すると、相対的に悪玉菌の数が増えますし、活動性があがると口の中の様々なところでトラブルを引き起こします。

前回の記事でも書いたように、就寝中は細菌が増殖しやすい環境になってしまうので、寝る前の歯ブラシは特に時間をかけて丁寧に行ってください。疲れて歯磨きせずに寝てしまったりするのは要注意です!

③定期検診の受診

どんなにご自身で歯磨きを頑張っていても、プラークは取り切れずに残ってしまい、時間が経過することで毒性の強い「古いプラーク」になっていきます。定期的に検診を受け歯のクリーニングを行うことで、「古いプラーク」を除去し良い常在菌を保ち続けることが重要です。

また「古いプラーク」や歯石はご自身では取り切ることができないので、歯科医師や衛生士さんの力を使いましょう!もちろん、むし歯の検査や歯周病の検査も併せて行っていきます。

お子様だけではなくご家族皆様での定期検診をお願いします!特にむしば菌の感染しやすい時期(「1歳6か月~2歳7か月ごろ)の子のご家族の方は、自分の口の中の菌のコントロールをすることで、お子様の将来のむし歯の感染リスクが変わってきます!また乳歯や生えたばかりの永久歯はむし歯の進行が早いので、気になることがあったら早めに受診してください。

自分も家族も定期検診で、むし歯のリスクを下げることが可能です!

 

2024.10.31

むし歯は科学だ!⑦むしばの要因の「細菌」について

私たちの口の中には、様々な種類の細菌が数多く生息しています。

特にむし歯の病原菌として、ミュータンス菌がよく知られています。

ミュータンス菌は、食事から得る糖分を栄養にして増殖し、その際に「不溶性グルカン」を作ります。この「不溶性グルカン」という物質が歯の表面に強く付着し、そこにほかの細菌も集まり集合体が出来上がり、「プラーク」が出来上がります。(プラークについては「むし歯は科学だ①むし歯の基本的な仕組み」をご参照ください)

日本人の大人の約9割がミュータンス菌を持っているといわれています。でも、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、むしば菌は生息していません。では、どこから感染が起きているのでしょうか?

ほとんどが菌を保有している親の唾液から感染するといわれています。母親からの感染が多いといわれていますが、父親やほかの子供からも感染します。

感染しやすい時期は1歳6か月~2歳7か月ごろで、いったん感染すると通常は歯がなくなるまで菌は定着しています。年齢が上がるとともに個々の菌叢が出来上がり、ほかの人からの感染は少なくなると考えられています。

また寝ているときは唾液の分泌量が減り、唾液の自浄作用が働かなくなり、細菌が増殖しやすい環境になります。

これを少しでも防ぐために、寝る前の歯ブラシは特に時間をかけて行い、プラークを取り除くことが大切です。

 

 

2024.10.24

むし歯は科学だ!⑥「食事(糖分)」に対する、むし歯予防の方法

前回の記事でも書いたように、食生活からむし歯リスクを改善するポイントは、「砂糖の量」「飲食回数」「時間」「何を食べるか」の4つです。

①「砂糖の量」については、間食回数や何を食べるかについてもかかわってきますが、代用甘味料を上手に取り入れていくことが重要です。

代用甘味料としてよく聞く、代表的なものとして「キシリトール」があります。糖アルコールの1種で砂糖と同じくらいの甘さがあります。またキシリトールの作用として唾液の分泌促進と再石灰化作用、むしば菌(ミュータンス連鎖球菌)の代謝阻害があり、口の中で歯を溶かすほどの酸を作らないので、むし歯予防に効果的です。

当院では、2歳ごろからのお子様向けにキシリトールタブレット、大人の方向けにPOs-Ca Fを販売しております。

キシリトールタブレットは甘味料が100%キシリトールなので、歯磨き後のご褒美としても使えます。

 

POs-Ca Fは、初期のむし歯を再結晶化してくれる作用があります。

さらに唾液中のカルシウムイオンとフッ化物イオン濃度を高め、丈夫な歯を保てます。

ただしキシリトールは一度に大量に摂取すると、下痢の原因につながりますので、適正量の摂取をお願いします。

特にPOs-Ca Fは味も長続きし、おいしいのでお勧めです。

 

②「飲食回数」については、間食の回数を減らすことが重要です。飲食回数が増えると砂糖の摂取量も増え、また歯が溶ける時間(脱灰の時間)が長くなり、むし歯になりやすくなります。食事と食事の間は2時間以上あけ、多くても1日2回までの間食にとどめることが目標です。

 

③「時間」については、だらだら食べをやめ、決まった時間に食事をとるようにすることが重要です。口の中に食べ物がある状態が長く続くと、pHが回復せず、また脱灰の時間も長くなってしまいます。

④「何を食べるか」については、砂糖が多く含まれるもの、飴などのように口の中に長く残るものや、キャラメルのように歯にくっつきやすいものはできるだけ避けた方がよいです。脱灰が起きやすくなってしまいます。

 

食習慣の見直すことで、むし歯予防だけではなく全身の健康にもつながっていきます。できるところから、始めてみてください!

 

2024.09.19

むし歯は科学だ!⑤むし歯の要因の「食事(糖分)」について

食生活はむし歯の発症に大きく関わっています。食生活からむし歯リスクを改善するポイントは、「砂糖の量」「飲食回数」「時間」「何を食べるか」の4つです。

①砂糖の量

むしば菌の1つであるミュータンス連鎖球菌は、砂糖を分解・代謝することにより、ネバネバした「グルカン」という物質を作り出し歯の表面にこびりつきます。グルカンは水に溶けにくいため唾液では流されず、ほかの細菌も集まって「デンタルプラーク」となります。そしてプラーク内でほかの細菌とともにまた砂糖を分解・代謝することで酸を産生し脱灰が起こり、むし歯の始まりとなっていくのです。

年間の1人当たりの砂糖の消費量が15~35キロではむし歯の発症が急激に増加するというデータがあり、砂糖の総摂取量を抑えることがむし歯予防につながることを示しています。

②飲食回数 ③時間 ④何を食べるか

食べ物を摂取すると、約3~5分後に歯の臨界pH 5.5を下回り、その後約20分以上の時間をかけて、元の状態に戻っていきます。

間食の回数が多いと、臨界pHを下回る時間が長くなり再石灰化の時間が少なくなり、むし歯が発症しやすくなります。また飲食回数を減らすことで、砂糖の総摂取量の減少にもつながりやすいです。

また食べる/食べないのオン・オフをしっかり決め、だらだら食べはやめましょう。口の中に食べ物が残っている時間が長いほど、歯が酸にさらされる時間が長くなり、脱灰が起きやすくなります。

同じ理由で、キャラメルや飴など口の中に長時間残りやすい食べ物は脱灰が起きやすくなります。野菜ジュースやスポーツドリンクなども糖分が含まれていることがあるので注意が必要です。

 

EAT RIGHT=良食という考え方があり、「正しい食事をとる」「正しい食事をする」などの意味があります。

食事の内容や食事の食べ方の習慣改善が、むし歯予防だけではなく、生活習慣病の予防にもつながっていきます!

毎日のお食事、少し意識してみてください!

 

 

 

 

2024.09.05

むし歯は科学だ!④「歯の質(宿主因子)」に対する、むし歯予防の方法part2

前回はに対する、むし歯予防の方法についてでしたが、今回は宿主因子のもう一つの大きな要因となっている唾液に対するむし歯予防のアプローチについてお話していきます!

①洗口液の使用

 「むし歯は科学だ!②」にも書いたように唾液には様々な作用があり、その中の一つに緩衝作用というものがあります。

上記の図のように食事をとると口の中は一時的に酸性に傾き、脱灰が起こります。その後時間経過と唾液の力により元の状態(中性)に戻っていきます。唾液の緩衝作用とは、口の中にpHの変化が起きた時に元の状態に戻そうとする作用のことです。

元々、唾液の緩衝作用が低い人の場合は元の状態に戻すまでの時間がかかるため、

口の中が酸性に傾いている時間が長くなる=脱灰の時間が長くなり、むし歯が発症しやすくなります。

そこで当院でお勧めしている洗口液が「モンダミン リセットコートプロ」です!

pH調整剤の働きで食後の酸性状態をすばやく中和してくれます。さらに含まれている殺菌成分で歯の表面を守ってくれるのでむし歯予防効果がアップ!

食後10分以内の使用してもらい、その後歯磨きをしていただくのがおすすめです!

むし歯になりやすい方にはぜひ、使っていただきたい洗口液です。薄めたりする必要もないので、とても使いやすいですよ!

 

②唾液腺マッサージ

加齢やストレス、飲んでいる薬の影響などで唾液の分泌量が減ってくることがあります。唾液の量が減ると唾液の作用も低下すると考えられます。

そんな時は、唾液腺マッサージを行うことをおすすめします。

マッサージのタイミングはいつでも大丈夫です。ただ高齢者の方ですと、食事の前に行っていただけると食事もしやすくなるのでおすすめです。 

 

 

 

2024.08.29

むし歯は科学だ!③「歯の質(宿主因子)」に対する、むし歯予防の方法

「歯の質(宿主因子)」へ効果的なむし歯予防の方法についてお話していきます!

①歯磨き

なにはともあれ、歯磨きは重要です!どれくらいの時間をかけて磨いているのか?歯ブラシだけじゃなくフロスや歯間ブラシを最近ちゃんと使っているか?歯磨きをし忘れて寝てしまっていないか?など、少しご自身の歯磨き習慣を見直してみてください。

 

 むし歯発症の3大好発部位の図です。

隣接面はフロスや歯間ブラシなどの補助器具を使わないと汚れが落ちてくれません。年齢を重ねると、歯茎が下がり歯と歯の間の隙間が広くなり、フロスでは落としきれず歯間ブラシを使用した方が効率がよくなることもあります。

また奥歯の咬合面は複雑な溝があるので少し時間をかけて磨かないと溝の汚れが取れにくいです。歯頚部も意識しないと歯ブラシがなかなか当たっていない箇所になり、歯頚部は歯茎と近いので、磨き残しが続くと歯茎が腫れる原因にもなってきます。

  

自分では磨いているつもりでも、十分にブラッシングが行き届いていない箇所もあるので、定期検診等で歯科医院で確認してもらうことをお勧めします!

たまに染め出し液を使って自分の磨き癖を確認し、きれいに磨く習慣をつけるのもお勧めです!お子様にもおすすめで、ブクブクうがいができる年齢から使用できますよ!

 

②フッ化物の応用

フッ化物(フッ素)を歯に塗ることで、むし歯への抵抗性を高めることができます。フッ素の歯面塗布は1回だけでは効果は期待できず、年2回以上の定期的に継続して受ける必要があります。お子様の場合は1歳から大体生え変わりが終了するまで、成人の場合でも根面むし歯の予防としておすすめです!

フッ素のむし歯予防のメカニズムは

1)脱灰抑制作用

歯の結晶内にフッ素が取り込まれることによって「フルオロアパタイト」や「フッ化ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる結晶構造に変わります。これは元々の歯の結晶構造である「ハイドロキシアパタイト」よりも酸に対して溶けにくい酸抵抗性があります。このため細菌から出される酸によるカルシウムの溶け出し(脱灰)が起こりにくくなります。

2)再石灰化の促進

フッ素が取り込まれた「フルオロアパタイト」や「フッ化ハイドロキシアパタイト」はカルシウムイオンやリン酸イオンのイオン濃度が低い状態でも再石灰化が起こりやすく、脱灰からの回復が早まります。

3)細菌の酸産生の抑制

フッ素がプラーク中の取り込まれると、細菌の代謝系酵素を阻害して酸の産生を抑制することで歯の脱灰が抑制されます。

脱灰と再石灰化については「むし歯は科学だ!①むし歯の基本的な仕組み(ブログ | 辻堂よしおか歯科クリニック (tsujido-yoshioka-dental.com)をご参照ください。

フッ素は自費診療(当院では1回550円)となります。

③シーラント

シーラントは主に乳歯の奥歯や生えたばかりの永久歯の溝を物理的に封鎖します。咬合面のむし歯予防に効果があります。  

                  

シーラントとフッ化物の併用によりむしば予防効果が増加します!

シーラント自体には年齢制限はありませんが、保険適用は12歳までとなります。

④矯正治療

歯並びがよくないと歯磨きがしにくかったり、凸凹したへこんでいる部分に汚れが残りやすかったりします。

矯正治療を行い歯並びをきれいにすることは見た目の改善だけではありません。歯ブラシの効率を上げ、むし歯の予防にもつながるのです!

 

 

2024.08.08

むし歯は科学だ!②むし歯の要因の「歯の質(宿主因子)」とは

むし歯は、様々な要因が絡み合って発症します。(ブログ | 辻堂よしおか歯科クリニック (tsujido-yoshioka-dental.com)ご参考ください)

その中で今回は、「歯の質(宿主因子:患者さん本人の持っている性質)」の部分について書いていきたいと思います。

宿主因子の中で大きな要因となるのは①歯の質②唾液の質になってきます。

①歯の質については、まず歯の形や部位によってむし歯になるリスクは変わってきます。

前歯と奥歯(臼歯)を比較すると、奥歯(臼歯)のほうが四角く大きな形をしており、咬む面(咬合面)に深くて複雑な溝があります。また奥の方が見えにくく磨きにくいことが多いので、奥歯(臼歯)の方がむし歯になりやすい傾向があります。

 また咬合面(臼歯)、隣接面(歯と歯の間)、歯頚部(歯と歯茎の境目)に関しても、むし歯発症の3大好発部位と言われており、むし歯になりやすいところとなります。また自浄部位とは唾液の洗浄作用や咀嚼による頬・唇・舌の動きによってプラークがたまりにくい部位です。3大好発部位は自浄作用が及びにくい部分と一致しています。

他にも、元々の歯の形態が凸凹していて溝が深い場合、被せものや入れ歯が入っている、歯並びが悪いなどの場合もむし歯のリスクが高くなります。

また自分の歯の耐酸性が低い場合は、細菌が出す酸への抵抗力が弱いのでむし歯になりやすいです。

次に②唾液の質についてです。

唾液腺から分泌される唾液には、カルシウムや抗菌・免疫物質などの重要な物質が含まれています。

そして唾液は左図(←)に示すようないろいろな役割を担っています。

ストレス、加齢、病気、薬の副作用などが原因で唾液の分泌量が減ってくると、唾液の作用が低下しむし歯や歯周病にもなりやすくなります

また元々の自分の唾液の性質として、緩衝作用が低い、再石灰化作用が低いなどの原因があると虫歯になりやすい可能性があります。

 

次回は、宿主因子に対するむし歯予防の方法についてお話していきたいと思います!

 

 

 

2024.07.25

むし歯は科学だ!①むし歯の基本的な仕組み

歯の表面に付着している白くてネバネバしたもの・・・それは「プラーク(デンタルプラーク)」です!歯の表面が白っぽく覆われていたり、ツルツルではなくモヤッと見えたら、プラークが付着している状態です。

そもそもプラークとは、歯の表面に強固に付着した細菌の塊で、うがいだけでは取り除くことができません。食後数時間で形成され、プラーク1mg中には1億個以上の細菌が含まれているといわれています。歯以外にも入れ歯や舌の表面にも付着することがあります。

厄介なことにプラークとその中の細菌たちはバリアのようなもので覆われているため、抗生物質などの薬も効かず、体の中の免疫細胞でもやっつけることができません。歯ブラシや歯医者さんでの定期検診で、機械的に除去しなければいけません。

 

このプラークの中に含まれる細菌が食事中に含まれる糖分を分解すると酸が作られ、この酸によって歯の表面が酸性になり歯の成分であるカルシウムが溶け出します(脱灰)。その後、酸は唾液の働きによって中和され、溶け出したカルシウムが歯の表面に戻ります(再石灰化)

歯の表面では食事のたびに「脱灰」と「再石灰化」が繰り返されていて、このバランスが保たれていればむし歯にはなりません!

しかしながら、よく間食をする、最近忙しくて歯を磨けていないなど、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰の時間が長くなると歯の表面が柔らかくなり、最後には歯が溶かされ穴が開いてしまうのです(むし歯の発症)

生活習慣の見直しが、むし歯予防につながります!

 

 

 

2024.07.04

むし歯は科学だ!

「むし歯」とは、口の中に住み着いている細菌が糖分をエサにして作る酸によって歯を溶かす病気のことです。

「むし歯」は世界で最も多い疾患で、日本では20歳以上の9割以上がむし歯になった経験があり、40歳以上の約4割がむし歯が原因で歯をなくしています。

では、どうして「むし歯」になってしまうのでしょうか?

 「むし歯」は多因子疾患と言われています。

図に示すように

①歯の質(宿主因子) 歯の質が弱い、酸に対する抵抗性が低い など各々が持っている性質

②食べ物(糖分) 主に砂糖の摂取量や摂取頻度、食事の内容 など食習慣

③細菌  ミュータンス菌といわれる虫歯の原因菌の量や質 など

に加えて、④食べ物や飲み物を口にしてから歯を磨くまでの時間

の①~④までの輪の重なった時に「むし歯」が発生すると考えられています。

この4つの要因のリスクを下げていくことがむし歯予防につながるのです!

歯の質の向上のためにフッ素を取り入れたり、甘いものの摂取を控えたり、歯磨きだけではないむし歯予防にも力を入れていきましょう。

バクテリアセラピーも細菌に対するアプローチなのでむし歯予防の一環になりますよ!

 

 

2024.06.20

ロイテリ菌タブレットの効果③むし歯や歯周病に対する効果

ロイテリ菌は継続摂取するとむし歯や歯周病にうれしい効果が!

①ロイテリ菌は虫歯の原因菌を80%減少させます。

ロイテリ菌はむし歯の原因菌である、ストレプトコッカス・ミュータンス菌の発育を抑制し、80%減少させることが分かっています。また歯のエナメル質に有害作用がないことも検証されています。

 

 

 

 

②ロイテリ菌は歯周病の原因菌を90%減少させ、重度・中等度の歯周炎を58%改善させます。

歯周病の治療と併用することで歯周組織が改善され、もし治療を行わない場合でも歯周病原菌の減少が認めらます。

ロイテリ菌摂取28日目までに、重度・中等度歯周炎の患者さんの58%に軽快、または治癒が認められると報告されています。

 

 

他にも

③口臭の抑制 口臭スコアがゼロの患者さんが4.5倍に増加

④ピロリ菌の感染抑制 ロイテリ菌摂取30日後に60%の患者さんでピロリ菌が完全消滅

⑤アレルギー症状の軽減 アトピー性皮膚炎に対する効果

等が認められています。

お口の中の細菌が腸内細菌等にも影響を与えます。

口の中の菌質が改善されると、全身の菌質改善にもつながるのです。

 

 

 

2024.06.13

ロイテリ菌タブレットの効果②効果を持続させるには?

ロイテリ菌タブレットの効果を持続させるには継続的な摂取をお勧めします!まずは1か月の継続摂取から始めてみませんか?

タブレット状なので寝る前になめるだけ!とても取り入れやすいです!

ロイテリ菌は本来、あらゆる哺乳類や鳥類などにもみられるありふれた常在菌ですが、先進国に住む人々からは見つかりにくいことが分かっています。

1960年代には成人の33~41%のヒトが保有していましたが、現代では2~27%の人にしか確認されていません。体内の常在菌はストレスや高脂肪食など現代的な生活によって悪玉菌優位に傾き、また悪玉菌を抑える抗菌剤は常在菌にもダメージを与え、体内の菌のバランスを崩してしまうからです。

現代的なライフスタイルの変化によって、ロイテリ菌を保有している人が減少しているだけでなく、ロイテリ菌が定着しにくくなっているので継続的な摂取をお勧めします!

2024.05.23

ロイテリ菌タブレットの効果 ①ロイテリ菌の特徴

前回書かせていただいた、バクテリアセラピーにロイテリ菌は欠かせません!

ロイテリ菌タブレットはバイオガイア社のL.ロイテリ菌が使用されています。ロイテリ菌は様々なプロバイオティクス(健康に好影響を与える生きた微生物)の中でも、優れた効果とエビデンスが実証されています。

詳しくは院内のポスターに掲示されているのでご覧くださいね

今回はロイテリ菌の特徴を3つ、紹介していきます!

 

 

1つ目の特徴は、ヒトの母乳に含まれる乳酸菌だということです。ヒト由来の乳酸菌なので副作用の心配もほぼなく、安心して摂取していただけます。

2つ目の特徴は、悪玉菌にだけ反応し天然の抗菌物質を産生するということです。この天然の抗菌物質(ロイテリン)はビフィズス菌などのヒトに有益な菌に対しては産生せず悪玉菌にだけ反応し、善玉菌と悪玉菌のバランスを整えてくれます。

3つ目の特徴は、世界各国で実験や研究が行われ、信頼性や安全性が高いということです。もっとも優れたプロバイオティクスとして認められています。

ロイテリ菌は全身の健康をサポートしてくれる「スーパー乳酸菌」なのです!

 

 

 

 

2024.05.02

ロイテリ菌タブレットの販売を開始しました!

バクテリアセラピー(Bacterio-therapy)をご存じですか?

予防医学先進国のスウェーデンで開発され、善玉菌を補給して体内の菌のバランスを整え体質改善を目指す医療技術のことです。

バイオガイア社のロイテリ菌はヒト由来の乳酸菌で、悪玉菌だけを狙ってその発育や動きを抑制し、善玉菌にはダメージを与えず増加と活性化が促進されます。また胃酸や胆汁に強く、毎日摂取することで消化管に定着していきます。

お口は様々な「菌」の入り口!口の中の「菌質」を改善することは、むし歯や歯周病の予防だけではなく、全身の健康を守ることにつながります!

当院では、「BioGaia ProDentis(プロデンティス)」だけではなく、妊娠中・授乳中の方向けの「ProDentis MUM」やお子様にも「使える「Child Health」等もご用意しております。家族みんなで菌質改善!

興味があるようでしたら、ぜひスタッフにお声がけください。

 

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